「売上は増えているけど、一向に利益が増えていない。儲かっていない!」

上記は、我々も中堅事務所(仮に従業員20名以上とします)以上のコンサルティングをさせていただくことが増え、代表の先生とお話をさせていただく中で相談をされることです。

特に、私がサポートさせていただいている相続分野のマーケティング強化を行っている事務所の中でも、ある程度の売上規模になると、課題は「売上」よりも「利益」をどれだけ上げるかがポイントになってきます。もちろん、事務所の規模や商圏にもよりますが、相続部門売上5000万を超えてから「利益を残す」ことの難しさに気付かれる先生が多いようです。

司法書士業界における相続業務は、不動産登記業務と比べると違いが沢山ありますが、その中でも
「①一業務あたり生産性」
「②業務受任&完了スパン(それに伴う売上計上スパン)」
が大きなポイントではないでしょうか。

「①一業務あたり生産性」は、不動産登記業務に比べて相続業務は案件による個別性が大きく、標準化しにくい為に効率化しにくい。また、アナログな手続も多く、一案件に複数名関わることも多いなど、生産性を下げる要素が多い。
「②業務受任&完了スパン(それに伴う売上計上スパン)」は、不動産登記業務は依頼から完了まで3日~1週間程度の期間であるのに対し、相続業務は遺産整理業務などで半年から1年かかることもあり、受任から完了までのスパンが非常に長く、入金までに時間がかかる。

上記の2点からも、収益性や生産性を考えると「不動産登記業務>相続業務」とされることも多いです。

とはいえ、日本の総人口減少や今後の不動産売買の動き見立てからも、どの事務所も不動産登記分野を増やしていくことは難しく、一方で高齢化が今後も続いていくことからも、相続や生前対策分野に注力することで業績を上げざるを得ない状況になっています。つまり「相続業務は生産性が低い」で終わるのではなく、「相続業務の収益性を上げるために何が必要か」を業界全体で考えていく必要があると思います。そこで、ある程度の売上規模になった事務所様はぜひ「儲かる事務所創り」を考えてみてください。

私がご支援先や会員事務所様にご提案している「儲かる事務所創り」のポイントは4つです。

① KPI管理 
売上や客数、受任率、受任単価などの経営数値を管理することはもちろん、業務処理における一案件あたりの稼働時間や人工などの数字も抑え、明確な課題を発見し、対処するといったPDCAサイクルを回していくことが必要です

② 標準化
相続業務において資格者しか対応できない業務は登記のみであり、無資格者でも十分対応可能です。また、最低限度の知識があれば、業務を処理することが可能です。知識が無い無資格者スタッフでも3か月で一人前の業務対応ができるようになるには業務の「標準化(誰でもできる化)」を行い、教育体制を作る必要があります

③ デジタル活用 
労働人口の減少に伴い、「人材採用の激化&人件費の高騰」が顕著になっている現状から、忙しいから人を入れるというこれまでの当たり前が難しくなってきています。そこで考えていただきたいことが「省人化」です。人がいなくても業務が回るためには、デジタル活用を進めていくことが一つのポイントです。実際に、kintoneでのクラウド案件管理やCTI活用で電話対応時間の大幅削減など大きな成果が出ている事務所様が増えています

④ 周辺高収益ビジネス付加
相続分野の収益化を考える上で、士業業務のみで考えると限界があります。相続分野を強化することで獲得できる「周辺業務」の取り扱いがポイントだと考えています。具体的には、不動産仲介(売り専門)業務などでしょうし、生前対策分野強化を図るうえで出てくる「周辺業務」はや保険商品の取り扱い、介護施設紹介業、葬儀社紹介業などが考えられます。特に、収益性が高い分野は不動産で士業事務所でも無理なく始められる売り専門の不動産仲介モデルを作ることが将来性が高いと思いますし、我々コンサルタントとしての今年の課題でもあります

この記事を書いたコンサルタント

川崎啓
川崎啓


新卒で株式会社船井総合研究所に入社後、多岐に渡る業界の経営コンサルティングに従事した後に、司法書士事務所専門コンサルティングチームへ。

現在は、全国20を超える司法書士事務所の経営サポートを行っており、その大半は相続業務を基軸に業績アップの提案を行っている。

WEBや紙媒体を駆使して、一般顧客からの受任を獲得するダイレクトマーケティング支援はもちろん、遺産整理や遺言執行などの業務導入を促進し、相続平均受任単価を倍増させる支援や、早くから成年後見業務の社会性、将来性、収益性の可能性を感じ、ご支援先に対して後見業務を切り口とした介護関係チャネルの営業支援を行い、業績アップ、永続成長事務所創りをお手伝いしている。

司法書士の社会的地位の向上を後押しすることをミッションとして、日々経営サポートに励んでいる。