2019年03月05日

民事信託のトレンド ~実家の空き家対策×親の認知症対策~

いつも当コラムをご覧いただきありがとうございます。
船井総合研究所 相続グループ 民事信託チームの廣瀬です。
 
本日は、民事信託のトレンドについて、
「実家の空き家対策・認知症対策としての活用」
という観点からご紹介させていただきます。
 
ポイントは、民事信託は、相続税対策が必要となるような
一部の「資産家」の方々のための商品ではなく、
 
・相続財産の大部分が自宅のみである高齢者やその家族
・一人暮らしの高齢者とその家族
・認知症になる可能性がある高齢者やその家族

 
といった、幅広い層がターゲットになりうるということです。
ここに、巨大なマーケットが存在するわけです。
 

1.超高齢社会日本における空き家問題とは

まずは日本の高齢化の実態について「家」に着目して数字を見てみましょう。
2017年時点の日本の高齢化率は27.7%であり、これは世界で最も高い数字となっています
(※高齢化率=総人口に占める65歳以上人口の割合)。
 
2040年まで65歳以上人口は増加しつづけ、
2040年の高齢化率は35%を超えると推計されています。
 
65歳以上の者のいる世帯については2016年現在、世帯数は2,416万5千世帯と、
全世帯(4,994万5千世帯)の48.4%を占めています。
 
高齢者の独居率も上昇を続けると推計されており、2015年から2040年の間に、
男性の独居率は13.3%⇒20.8%、女性の独居率は21.1%⇒24.5%に増加すると推計されています。
 
こうした世帯数の変化と世帯主の高齢化に伴って増加するのが「空き家」です。
2013年時点で、日本の総住宅数は6,063万戸、
このうち空き家は820万戸であり、空き家率は13.5%です。
 
また、野村総合研究所の推計によれば、2033年には総住宅数7,130万戸のうち、
空き家が2,170万戸となり、空き家率は30.4%に達するとされています。
 
ここまでのデータをまとめると、2040年ごろまでの日本は、
 
 ・高齢者人口は増加し続け、3人に1人以上が高齢者となる
 ・高齢者のいる世帯が総世帯数の半数を超える
 ・高齢者のうち4~5人に1人は独居となる
 ・住宅の戸数は増加し続けるものの、そのうちの3割が空き家となる

 
という社会になってゆくと考えられます。
 

2.認知症と空き家問題

さらに問題となるのが、高齢化に伴って増加する「認知症」です。
認知症高齢者の数は、2012年時点では460万人を超えており、
2025年には700万人に及ぶと推定されており、これは65歳以上高齢者のおよそ20%にあたります。
 
独居の高齢者が認知症になった場合、介護施設に入るか、在宅での介護体制が必要になりす。
ところが・・・最近ニュースでもよく取り上げられるように、
認知症になるとその方の資産は凍結されてしまいます。
 
つまり、家の持ち主(登記名義人)が認知症になった場合、
その家を売却したりリフォームしたりすることは非常に困難になり、
以下のような問題が発生します。
 
独居の親が認知症になった場合
  
 ・介護施設にはいり、実家は「空き家」になる
 ・在宅介護に対応できるように実家をリフォームすることができず施設からでられない
 ・実家を売却して介護費用にあてることができない
 ・実家を賃貸物件として貸し出し、親の介護費用などにあてることができない

 
このように、本来さまざまに活用できるはずの「家」という財産が、
なにも生み出さない「空き家」になってしまうことで、
本人や家族の生活に大きな支障がでる恐れがあるのです。
 

3.民事信託が有効な対策となる認知症対策×実家の空き家対策

さて、ここまで見てきたように、認知症と実家の空き家問題が
大変な問題をはらんでいることはご理解いただけたかと思います。
では、その対象となる人はどのような人でしょうか。
どういった客層が、対策を取らなければならないでしょうか?
  
 1.核家族であり、親子が離れて暮らしている
 2.高齢の独居世帯
 3.財産は自宅が大半を占める
 4.認知症になる恐れがある

 
これに当てはまる方であれば、何らかの対策が必要といえます。
言い換えれば、ごく平均的な日本人の多くが
ここに当てはまるということがおわかりいただけるかと思います。
  

4.民事信託の活用で認知症、実家の空き家対策を

民事信託・家族信託の活用で、認知症による資産の凍結を防ぎ、
自宅の空き家化を防ぐことができます。
もっとも代表的なスキームの例は、以下のとおりです。

・委託者 :父親(一人暮らし)
・受託者 :息子(実家を離れ家族と同居)
・受益者 :父親
・契約内容:父親は、元気なうちは自宅に住み続け、認知症が発症した場合には、
      息子に管理権を移し、適切な実家の管理や売却を行う

 
民事信託は契約の組成方法によっては、様々なスキームを組むことができます。
その点が魅力であるのと同時に、商品化が「難しい」と感じる先生方が多いのも実情です。
 
しかし、上記のような認知症×実家の空き家対策のスキームに絞り込めば、
商品化が比較的シンプルにできますし、
お客様にとってもニーズが分かりやすいため提案がしやすくなります。
 
このように、認知症・実家の空き家対策ための民事信託は、
  
 ・ターゲットとなる層の数が巨大である
 ・信託のスキームとしては比較的シンプルであり、提案しやすい

  
という点において、まさに「時流に合った」商品であるといえます。
 

5.おわりに

認知症・実家の空き家対策としての民事信託活用は、
 
 ・空き家問題
 ・認知症の資産管理問題
 ・相続問題

 
という、日本の抱える大きな社会課題を解決できる可能性のある商品です。
 
そのためには、民事信託に注力し、
実際にお客様にご提案できるプロフェッショナルの存在が欠かせません。
 
法律の専門家である士業事務所の皆様にこそ、
まさに、その使命があると私たちは考えております。
 
最後に、これから民事信託に参入を考えていらっしゃる皆様、
事務所の事業としてさらに拡大してゆきたい皆様へのご案内です。
 
弊社の開催する民事信託研究会では、民事信託マーケットの最新動向や、
実務における疑問や悩みを共有し合えるプラットフォームを創り、
民事信託を業態として全国に普及させてゆくことを目指しています。
 
是非一度、民事信託研究会のウェブサイトをご覧ください!
 

★民事信託研究会

・全国から民事信託に取組む士業事務所様が集まり、定期的に開催する勉強会です。
・過去3回の開催で、累計180事務所を超える経営者の皆様にお越しいただきました!
・次回の開催は4月28日(日)を予定しております。
・詳細は、民事信託研究会のウェブサイトをご覧ください!
(※お試しご参加のお申込みも随時承っております)
 
▼民事信託研究会ウェブサイトはコチラ▼
https://www.samurai271.com/sozoku/family_trust
 
出典:
平成30年版高齢社会白書
平成25年住宅・土地統計調査
株式会社野村総合研究所 2016年6月7日 ニュースリリース
「2030年の既存住宅流通量は34万戸に増加~空き家は2033年に2,000万戸超へと倍増~」

【この記事を書いたコンサルタント】

廣瀬 大悟(ひろせ だいご)

長野県上田市出身。横浜国立大学大学院修了。大学院では文化人類学を専攻し、狩猟研究を行う。 株式会社船井総合研究所に入社後、環境エネルギー分野におけるBtoBマーケティングを専門とするコンサルティングに従事。 現在は、士業事務所を専門とし、BtoCおよびBtoBマーケティングに特化したご支援を行っている。特に、「民事信託」を活用した相続関連事業の立ち上げ、業績アップに注力している。 超高齢社会において、士業事務所が提供するリーガルサービスのさらなる価値向上をモットーに、全国の士業事務所をサポートしている

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